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瘋癲野朗

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「フジツボか…。」

傷だらけになった手のひらをみて、呟いた。

昨晩は、鍋パーティにお呼ばれして千葉港のそばで川鉄を望みながらお酒を飲んでいました。


何故か「海に行こう」って話になり、僕らは夜の波止場へと向かいました。


夜の港はなんだかロマンチックでした。嘘です、ホントはほとんど覚えてません。


突然(suddenly)、僕はムラムラとした衝動に駆られ、その場で服を脱ぎ…









ザブン。




海に飛び込んでしまいました。


海に落ちてからいくつか気が付いた事がありました。

一つは港から飛び込んだので壁が高く、戻れない事。

かなり自分が酔っ払っている事。


そしてもう一つは…、



僕は泳げない事。


「パニクったら死ぬな。」そう思いました。

とりあえず壁にしがみついてみました。いいかんじです。


「溺死はやだな…。」そう思いました。


いかんいかん、そんなナーバスになったら、め!めよ!


「はっはっは!上がれないよ~」明るく言ってみたけど逆に悲惨な感じでした。


そんな時!


目の前を黒い影がよぎりました。



ザブン。


「海保!あっちだ!あっちに梯子があるぞ!」


小澤だーーーーー!!!!


小澤が助けに来てくれました。


目の前をスイスイと泳いで行きます。


「何でこいつも飛び込んだんだろう?」

カタイことは言いっこなしです。


そこから泳げない僕の遠泳(ホントは30mくらい)への挑戦が始まりました。

犬かきと平泳ぎとバタフライを自分流にミックスした独特の泳ぎです。「自分」があるっていいよね!


遠い…。梯子が果てしなく遠い。

小澤はもうすでに梯子を登っています。ホントに何しに飛び込んだんでしょう?
カタイことは言いっこなしです。


ちょっと泳いでは壁にしがみつき、ちょっと泳いでは壁にしがみつきを繰り返し、ようやく梯子に辿り着いた時にはもうヘトヘトで全裸でした。


そこから何も覚えてません。


お酒が回っちゃったんでしょうね。


フジツボは硬い。
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